子どもたちの自然科学に対する興味を惹き、学ぶ意識のなかに科学の種をまくことを目的とした学習です。学校の理科授業とはまったく異なって、身近な道具や楽しいオモチャなどにふんだんに採り入れられている科学原理に触れて楽しく遊んでほしい、そんな願いをもって授業に臨んでくれるのが、今回の講師・小林正美先生(筑波大学准教授)です。
実施日は8月20日(土)。この日アビスタホールに集まったのは抽選で選ばれた2年生~4年生までの小学生とその保護者の皆さん計30組。(応募総数97組)実験は協同作業もあるので親子6組で1つの班、合計5つの班をつくりました。
小林先生は次々に小道具を使って、おもしろくて不思議な現象を子どもたちに見せていきます。そのたびにご自身が幼少のころ信州で過ごしたエビソードなどを語って、子どもたちの目と耳は釘付けになっていきます。火打石の正しい使い方から童話「かちかち山」につなげたり、モーリアンヒートパックという魔法の袋にうずらの卵を入れて薬剤を加えるとゆで卵ができたり、割りばしでできたボールがどんどん形を変えていったり…、矢継ぎ早に出てくる、まるで手品のようなふしぎの連続で、子どもたちは「わーっ!」「へーっ!」を連発します。
また、子どもたちには一人一人に「飛び出す蝶々」「つぶれても元の形に戻る不思議なボール」など数種類のオモチャがお土産として配られました。いずれも小林先生が各地の駄菓子屋や駅売店などで買い集めた稀少品ばかり。不思議な具体物のオモチャで遊ぶのに夢中になっていく子どもたち。
さらに電子レンジの中に入れた電球のフィラメントやシャープペンの芯、そしてCDがそれぞれきれいな色に輝くのを見て、保護者の皆さんからも歓声が上がります。音波発信器から出る音の周波数帯を変えるという実験では、一定の領域から上は子どもには聞こえても大人は誰一人聞こえないことに、子どもたちよりもパパやママに衝撃が走ります。
そのほかもたくさんの「おもしろふしぎ」な実験が続き、いよいよ協同作業の場面へ。ゼムクリップを使ってバッタをつくる実験を経て、アイスボール製氷機でつくった丸い氷を使って小便地蔵から勢いよく噴出する水。これを各班で空き缶をつかって実験。
そして最後は、モーリアンヒートパックで作られたうずらのゆで卵をワインのビンの口に置き、お湯と氷の温度差によって卵がビンの中に吸い込まれたり外に出てきたりという実験を全グループが親子みんなで協力して成功させました。これには実験を成功させたパパやママの方から大歓声が上がりました。
小林先生は合計30種類を超える「おもしろ・ふしぎ」を見せたり体験させたりを、息つく暇もなく連発し、子どもたちをグイグイ引き込んでいきました。目の前で次々起こる現象について、エピソードは語っても原因・理由は一切説明しません。先生自身が楽しく遊んで子どもたちを惹きつけ、一緒に時間を過ごすのです。
実験が終わっても、テーブルの上には水飲み鳥をはじめたくさんの「おもしろ・ふしぎ」おもちゃがズラリと並び、授業後に何組もの親子がいつまでも名残惜しそうに遊ぶ姿を、先生は嬉しそうに見守り続けていました。